1月16日東京日経ホールで開催された
サンデル教授と考える「社会保障と税」に参加してきました 当日飛行機の都合で開演1時間前に着いたんですが、
既に並んでいる人が ちょっとビックリしました。
さて本題の「社会保障と税」の前に
サンデル教授から ギリシャ危機について・・・
解りやすく言うと、民主主義と金融資本主義の緊張状態にある。
本来自国の経済状況が悪化すれば、相対的に自国通貨が下がり
その中で国内で民主主義の下、どのように舵を切るかを話し合うというプロセスがある。
しかしEUと言う通貨統合された枠組みの中では、他国にも大きな影響が出るため 本来あるべき時間的余裕が無い
そのような環境下では、
国民は今までのことは自分たちが勝手にしたのではなく
すべて民主主義で決定したことなので自分たちに非は無いという考えを持ち
他方 EU諸国は、ギリシャ一国の問題で全体に重大な影響を及ぼすことはあってはならないと考える
どちらにも真実がある。
要は価値観の違いからくる緊張関係だと説明
だからこそ時間が必要だと思うと・・・
また今回の「社会保障と税」についてはアメリカでも保守とリベラルがお互い主張を変えず、
特に保守派のティーパーティは強硬であり、解決方法が見つかっていない大きな問題であり
今日の対話によって、自らもヒントを見つけたいとも言われてました。
さて 本題ですが
まず「税」について・・・ 社会保障を維持する為に消費税を上げるべきかどうか
これに関しては参加の中でまっぷたつに割れました。
最初に質問した18歳の男性が、
「いきなり消費税を持ち出すのはおかしいのでは」
「現在の所得税に対しての課税強化で問題ないのでは? なぜなら給与所得者の30%が所得税を納めていない。
この状態を解消し、皆がきちんと税金を納めることで解決策を考えるのが基本ではないのか?」
政府との契約が、なされるべきことがなされていない状態で、
新しい制度を作ることは反対と直球を投げかけました。
私も場内の参加者も彼の発言は落ち着いており、また内容もしっかりしていたのでビックリしました。
今回の参加者のレベルの高さを感じました。
消費税に賛成の方は概ね、「所得、年齢に関わらず、全員が平等に支払うから賛成」と言う意見でした。
消費税が低所得者に取って負担が大きいのか?富裕層にとって負担が大きいのか?についても 意見が出ました。
ただこの違いは、消費税の「所得に占める割合」と「支払うグロスの金額」、
どちらに価値をおくかという問題だと思います。いわゆる逆進性の問題ですね。
またサンデル教授は、
現在世界の国々では、課税対象は概ね給与所得に対してである。
ただ、金融資本主義が急速に進んでいる現在はウォーレン バフェット氏の発言にもあるように、
投資に対しての課税や富裕層に関しても再考する必要があるのでは総括されていました。
その後、社会保障の話に進み、
サンデル教授が「高齢者が優遇されすぎているか?そう思う人は手を挙げて」と質問したところ
私の見た感じでは7割以上の方が手を挙げていたと思います。
ある方は「高齢者は病院でたむろしている。集会所代わりにしている」と医療費を全額自己負担すべきと発言し、
また違う方は、「自分たち若い世代と違い、明らかに返ってくる金額が大きい 不公平だ!」
「1200兆円の多くは高齢者の資産なのだからお金を持ってる人が医療費を負担すべき」等
高齢者に批判的な意見が多々出ました。
ちょっと違った視点で「終末期医療にかかる額が生涯の健康維持のためにかかる費用を上回っており、
終末期医療は自己(家族)負担とすべき」とも・・・
対して少数ですが「今まで戦後復興から苦労してきた高齢者が優遇されるのは間違いではない!」
「自分より年配の方を否定すると倫理、道徳的に問題がある」という意見も出てました。
60前の女性からは「自分たちが得をしているのではない」
「そのときの政府との契約を実行してもらっているだけ」
「契約内容を主張することは正当性がある」
「問題はその原資を無責任に浪費した官僚や政治家にある」 と議論が白熱しました
聞いていて「悪者」が、若者から見て高齢者 高齢者から見て政治家とスライドしていくのが見てとれました。
サンデル教授の描いていた構図どうりに進んでいるって感じでした。勝手な想像ですが
その後、社会保障制度が出来た当時は、若者が高齢者を支える比率が6:1だったのが
現在2.8:1 2025年には1.7:1になる。
対策はあるかの質問に
労働力としての移民受入や女性の再雇用や子育て支援等意見が出ました。
中には女性の労働環境の改善を訴える女性もおられました。
総括として、
サンデル教授は 「国家と国民の社会契約は継続されなければならないし守られなければならない。」
決して急に変更してよいことではない。 なぜならそのようなことが起これば
「信頼関係が失われ、そこには正義も秩序も無い。」
但し、自らを取り巻く環境は変化するので、
「常に公の場で再検討を続けて真実、事実を見つける必要があるのでは・・・」と 締めくくられました。
参加していて、2時間弱の短い時間で、ここまで問題点の集約ができ
参加者が他者の意見から学ぶことが出来る機会を与えてくれたサンデル教授には感謝以外ありません
多分、教授は質問者の顔を見て、だいたい出てくる意見が分かっているような気がしました。
で・・・
最後になりますが私の意見
なんども手を挙げたのですが当ててもらえませんでしたが・・・
消費税増税には反対です!
理由は主に3つ
つ目は、所得に対する課税にはまだまだ改善する余地がある。
つ目は、中小企業で下請け業等、直接消費者と取引しない企業は、消費税を元請けに請求しづらい現実がある。
つ目は、いくら必要か明記していない。社会保障に使われると言うが、過去検証しない組織では、信用できない。
以上の理由からです。
今回の対話では法人についての意見や検証が、一切出ませんでした
補足しやすい個人に焦点をあてる いかにも官僚的ですね〜
日本のGDPにしめる税の割合は27%程度 ヨーロッパと比較しても10%ほど少ない。
その差の金額約15兆円 消費税5%の現状、消費税収は約12兆円
現状の給与課税の仕組みを変えて GAPを埋める方法は無いのか?の検討も公にされてない。
大企業でも法人税を払っているのは3割程度の企業
中小企業においてはもっと少ないのでは・・・
昔は終身雇用を約束として企業が存続しており、雇用という面では企業の存在意味はあったと思います。
しかし現在、自由競争という名の下に人件費から削減していく風潮
労働問題を恐れ派遣社員に変えていく それでも利益を出し、
納税しているのなら経済環境にアジャストしているだけと言い訳できるかもしれませんが、
人件費を削減し、役員報酬を取りながら赤字を出して、納税しない 。
このような法人に対してなんら有効な手が打てず、多額の納税をしてる企業から簡単に原資を取ろうとする。
また大企業の実行税率は15%前後という事実
赤字企業でも社会のインフラを活用していることから一定額を徴収することも可能では・・・
(法人市民税や県民税で払っているというような規模ではなくですよ)
赤字を出し続ける企業は市場から撤退してもらう方が、ノーガードの殴り合いにはならないのでは・・・
2つ目の問題は、中小企業は、これまで以上に値引圧力が強まり、
相手先企業から受け取れず 結果、倒産してしまうリスクが格段にあがる。
そうすれば、今先進国でも低い失業率が一気にあがってしまう危険性がある。
最後に、ちゃんと運用されるのか?の疑問
生活保護の不正受給など国民の問題
社会保障とは、ちょっと違いますが新たな財源の運用という意味で・・・
今回の3.11の復興名目で新たに徴収する税金が、
今年の元旦に施行された「放射能物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」
(以下除染法・これも国会審議無しに民・自・公で決定)で
日本原子力研究開発機構等 外郭団体が儲かる仕組みを今だ構築している国の腐敗の構図のように
違うところに流れていく?現実がある。
注意この記事に対しては抗議文も出てます。公平性から載せておきます。
それと消費税の特例処置の見直しもされてません。
さきにそちらをして、実態を把握して、その後増税ではないでしょうか
また 今回 高齢者が現状のまま生活していくことが
悲しいことに、 一部の若者に取っては イコール 社会のコストの増加と捉える意識が出てきていると、
会場で強く感じました。
その意識を変えていく必要があると思います。
高齢者をこれから増えてくる資源(高齢者には失礼かもしれませんが)と考えて
今までの「定年」という概念から「役割変更」という考え方で、活用していく方法を考えてはどうでしょうか?
当社ではシルバー人材の方々が本当に良く頑張ってくれています
また、若者には機会と可能性があり、自らの力で所得を伸ばす可能性は十分あると思います。 国内外問わず
それに比べると高齢者は働く機会や所得の増加の可能性があまり高くありません。
これからの所得の増加の可能性が低いことを考えると、高齢者優遇とは思いません。
若者には、このような経済環境なので内向きになるかもしれませんが、前を向いて生きてほしいと思います。
当社でもずっと正社員を募集してますよ。
また女性の所得が男性の半分にしか満たないのは、結婚退職や出産後復職しにくい問題があると思います。
高齢者の方の経験を生かして、幼児の預かりや育児の手助けをしてもらうことで、
待機児童の問題を解決して、感謝の気持ちとともに、女性が職場復帰できるのでは・・・
その継続こそが就職時からの女性の地位向上につながると思います。
生まれた子供と高齢者のバイオリズムが似ているという話を聞いたこともあります。
たしか台湾で・・・
ハワイでは出産後6週間で職場復帰しないと退職らしいです厳しいですね
また社会保障については 番号制は必要だと思います。
番号制度による履歴の検討、検証を繰り返す必要があると思います。
ITを活用しない会社が生き残れないのと一緒で、効果検証に必ず活用すべきだと思います。
社会保障番号の問題点も議論されていますが・・・
私が去年Blogで紹介させていただいた「ストーリーとしての競争戦略」の中で
自分たちの施策が「キラーパス」になってるか?
「ゴールに結びついているか?」
「ただ単に自己満足になっていないか?」と言う問いかけがありました。
不必要な無駄を省き、今あるシステムを改善し 国の運営コストを削減することで
プライマリーバランスの均衡を計り、その上で
積上った借金を返す為に 期限を決めて、健全な財政にする為に広く増税する
ならあるのかな・・・と思ってます。(輝く未来の為に・・・)
偉そうなことを長々と書いてスミマセン
また、不適切な文章もあるかもしれません。 重ねてスミマセン
でも、このように熱くさせてくれるのがサンデル教授なんですよね
私は今回の参加の為にちょっと勉強しただけでした。
しかし2時間の中で問題点が明確になり、知らないことも知ることが出来ました。
何事にも真っ正面から向き合うこと 他者の意見に真摯に耳を傾けることが大切なんだなと・・・
改めて感じた次第です
私の意見は、これから色々な情報や他者の意見により変わっていくかもしれません。
が今、自分が感じた事として、ここに記録しておきます。
最後まで 読んでくださった方々 ありがとうございました。
感謝!